訳し難い日本語

「整理、整頓、清潔」って何て訳すの

翻訳をしていると文化の違いから「とても訳せないよ」というような日本語が出てきます。「整理、整頓、清潔」は私がフリーランスをはじめたばかりの頃、出て来たそのような言葉の1つです。その当時はインターネットもなく、Googleもない時代で、適切な訳語を思いつかない私は一緒に仕事をしていたアメリカ人翻訳者に相談しました。

彼は「部屋や職場を清潔にするのは常識だよ、だからそんな言葉は英語にはないよ」と言うのです。彼の説明に納得した私はどう訳したか覚えていません。でも今、考えてみますと、欧米人は日本人ほど清潔ではないですよね。3日も一週間もお風呂に入らない人もいますし、お風呂どころかシャワーも付いていないホテルやモーテルもあります。だから彼の議論は矛盾があったのですが、英語で議論していたために、それに気付かなかったのかも知れません。

確かにもともと英語にはこのような言葉はありません。ですからピッタリの言葉はないですが、Organized とKeep tidy を使用して表現できると思います。
例えばMy office is well-organized. と言われれば整頓されているオフィスが思い浮かびます。He always keeps his room tidy. と言えば掃除の行き届いた部屋を連想します。

最近、翻訳した「日々の身だしなみ」です。これも難しく
ネイティブスピーカーに相談したら
I am unfamiliar with this Japanese term. Would “everyday appearance” be acceptable? (私はこの日本語は良くわからないけれども“everyday appearance”でも合っていますか) と言って来ました。えっ、「日々の身だしなみ」が“everyday appearance”になってしまうの、まぁ、合ってそうですが、この言葉には「普段着」のようなニュアンスが感じられますよね。

そこでdaily groomingやdaily outfitsはどうかと提案しました。例文を作ってくれました。
My daily grooming routine takes about two hours every morning.
(私は毎朝、身だしなみに約2時間かけます)
これだと「身だしなみ」というニュアンスが出ていますが、
Her daily outfits are always so cute.
(彼女の日常の装いはいつもかっこ良いです)
この例ですと、「身だしなみ」というニュアンスは感じられません。しかし、
I spend an hour to take care of my outfits every morning. (私は毎朝、1時間をかけて身だしなみを整えます) と「身だしなみ」のニュアンスは少しは感じられます。

英単語のニュアンスは文脈の中で微妙に変化するのがわかりますね。

職場における服装ということを強調するのであれば business attire のほうが良いとのコメントもありました。business attire、カッコいいですね。そのうち、一度、使ってみたい言葉です。

今度は日本人と英米人の単語の使い方についての違いです。
先ず、前回、realize (実現する) について議論しました。これについてネイティブの意見を聞きました。その返事が下記のメールです。

“Realize has a lot of definitions, and if you go by how it’s used in the dictionary there are a lot of places you would be able to use it. But I think for native American English speakers it’s used when describing immaterial objects. “
(realizeには、多くの定義があります。辞書にはいろいろな使い方が出ていると思います。しかし、アメリカ英語を母語とする人は通常、形のないものを表現するときに使います)

例として次のような使用法があります。
He realized his true potential. (彼は自分の可能性を実現した)
Our plan will finally be realized. (私たちの計画は遂に実現した)

またネイティブスピーカーはrealizeを understandの代わりに使うことがあります。
下記はその例です。
Please realize that we cannot refund any purchase of this product.
(この商品についての返金は出来ません)

同じrealize の使い方でも私たち日本人と異なり、面白いですよね。

真似をして次のように文章を作ってみました。I began to realize that he is not a wonderful business man but an awful deceiver. (私は彼が素晴らしい事業家ではなく、とんでもない詐欺師だということが分かり始めました)

このようにrealizeを使えば自分の英文作成力が一挙にアップして気分は最高です。