(3) 外国人は日本人のような横並び意識がない(3) 外国人は日本人のような横並び意識がない

Pとどうもうまくいかない。アメリカ人はもともと主張が強いのはわかっているのたが、この人は特にそれが強い。
オフィスのコンピュータが気に入らないと米軍から中古のコンピュータを買ってきたり、他人の編集した英文は気に入らず徹底して赤を入れてしまう。中心者の私が決定したことでも反対してくる。
私は決断した。Pにお互いがあまりにも個性が強すぎる、別な道を歩もうと話をしたら即座に了解してくれた。彼も悩んでいたのだと思う。6ヶ月の短い付き合いだったが勉強はずいぶんさせられた。

Lというアメリカ人翻訳者兼編集者がいた。この人の出勤はいつもきわめてカジュアルで、夏は短パンである。
しかも仕事をしながら何かをいつも食べている。そこまでは翻訳、編集という仕事でやむをえないだろうなと思っていたが、そのうちビールを飲みだした。それどころか足を壁に投げ出して仕事をしている。足を机の上に投げ出すというのはよく見るが、高々と壁に投げ出すというのは見たことも聞いたこともない。
アメリカ人が自由を重んじるのはいい。問題は職場でビールを飲みながら仕事をしてもいいかと聞いてこないことである。
この人は英文リライトはうまいが翻訳させると日本語を読み間違えて誤訳をすることがあるので必ずチェックをしなければならない。

Sというインド人が入ってきた。Lと違って翻訳も正確だし、金融や証券の翻訳もできるので頼りにしだしたら急にやめると言い出してきた。ギャラがいいところが見つかったからというのがその理由である。かれらはそこでいつまで仕事ができるかということはあまり考えない。取り合えず条件がいいとすぐに移ってしまう。

Rというアメリカ人が入ってきた。リライトがうまいだけでなくナレーションまでできるという才能のある人だ。打ち解けていろいろ話をしだしたらアメリカ人はバカだという。よく聞いたらこの人はユダヤ系アメリカ人だった。

本格的な編集の経験がない英米人でも採用してしばらくするリライトがうまくなる。ところがSというアメリカ人は使ってしばらくしてもうまくならない。仕方がないので「使えない」と言ったら「自分は編集の仕事を覚えたい。だから時給を半分にしてもいいから使ってくれないか」と泣きつかれてしまったのでそのまま使い続けた。

英語圏の人を使うのは日本人を使うのとまったく異なる手法が必要である。日本人のような横並び意識がないから一人の人を使って培ったノウハウが次の人を使うときにそのまま生きないのだ。それでもこんなことを長くやっていると共通項が少しはわかってくるようである。


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