翻訳者としてスタート翻訳者としてスタート

本日は在宅の翻訳者はどのようにスタートすれば良いかということについてお話したいと思います。
一般的に独立して間もない、いわば駆けだしのフリーランス翻訳者が最初から月20万とか30万の収入を得るというのはやはり難しいと思います。やはり最初はトライアルをパスして、エージェントに登録する。そこから少しづつ仕事をもらうというのが普通の順序になると思います。

前にもお話したように経験の少ない翻訳者がエージェントに登録できてとても喜んだけれど、半年たっても実際の仕事はさっぱりこないというのは実はよく聞く話です。

特に現在はコロナで翻訳業界も良い状態ではありません。新規の仕事も減っている状態ですので、月の収入が5万円とか10万円というところからスタートすることでもラッキーだと思います。

そういった意味では、完全にフリーランスになった場合、あらかじめある程度の蓄えがないと困ることになるかもしれません。

私の会社に登録している翻訳者のケースを紹介しますと、一番多いのは他にメインの収入基盤をすでに持っていて副業として翻訳をやっている人たちです。例えば英会話スクールの先生をしていてそれがメインの収入になっている。そのうえで授業のない日、空いた時間を翻訳業にあてているという人もいますし、通訳をやっているが、通訳の仕事はそれほど忙しくない。やはり空いた時間を在宅で出来る翻訳にあてて、これからは翻訳の仕事を増やしたいという人もいます。また主婦の場合ですとはじめから収入をそれほど問題にしなくてすむという人もいます。
いずれにしてもはじめは兼業というスタイルをとったほうがいいのではないかなと思います。

私も以前在宅の翻訳者をしていたころは、1つの会社から10万の仕事をもらえた、B社からは3万、C社からも7万来たから全部で20万になるなという感じですこしづつお客さんを増やしながらやってきました。

それからやはり在宅翻訳者で、以前に通訳をしていたという女性のケースですが、通訳の場合だとその場所に行かなければできないという問題があって時間的な制約を受けやすいと。それに加えて日本の社会の場合、通訳に女性でしかも若い人を希望するクライアントがどうも多いそうです。通訳をしていれば収入はいいんですけど、あるていどの年齢になったら今後は翻訳を中心にしたいと言っている人もいます。

それからこれはどんなかたち──兼業であれ翻訳1本であれということですが──にせよ、受けた仕事がいくら自分の得意な分野であってもできるだけ念入りに調べたほうがいいということはぜひ言っておきたいと思います。
会社には英語が出来る人はいくらでもいるわけです。そういう中で翻訳会社にまわってくる仕事というのは、英語が一定レベル出来る人でももてあますといった内容のものなわけですから、これは必ず難しいものだと考えておいて間違いありません。いくら専門の分野でも、ましてや専門とはいえない分野の翻訳を手がけることになればインターネットを使って調べたり、辞書を何べんも引いたりということがどうしてもでてきます。
そういった意味で最初の一年は半分は勉強、半分は収入というくらいの感じでゆっくりスタートすることができれば、それはある意味で理想的だと言えるかもしれません。

はじめの頃は英日の原稿用紙1枚400字を訳すのにも2時間とか3時間という──それ以上かかるようでは翻訳者にはなれないと思うんですけど──時間がかかるでしょう。
早くなるとそれが1時間で3枚くらいできるようになります。3枚できるようになるにはやはり10年くらいかかるかもしれませんね。

ベテラン翻訳者を待つ「落とし穴」

翻訳者もベテランになるとどんどん仕事も入ってきて、収入も高い水準で安定する時期をむかえます。
ただそこには落とし穴もあるんですね。大きな仕事がどんどん入ってくると、もったいないから断らずに全部引き受けてしまってそれを自分ではなく誰か代りの人にやらせる人がいます。

もちろん下訳を誰かにやらせることがあっても、それを本人がきちんと責任を持って見直したものを納めてくれれば文句はないんですけど、それをせずに下訳のまま自分のやった商品として納めてくる人がいるんです。これは明らかにルール違反になります。

筆者自身がその実力を見込んで仕事を依頼した人です。読めばその人の仕事ではないことはすぐに分かります。これではこの先仕事は頼みたくないなと思ってしまいます。
ですからせっかくある程度コンスタントにいい仕事が入るようになってきたときに、さらに欲張ってそういうことをすると信用を失って結果仕事を減らすということがあるんですね。われわれ翻訳会社は少しでもいい商品、つまり翻訳物をお客様に納めようと思って社内、社外でいろんな人間が四苦八苦しているわけです。

翻訳浪人になるな!

翻訳業界に長くいると変なメールが来ます。どんな分野でも日英が中心ですが、24時間とか、長くても3日くらいで収めるというメールセールスです。英文サンプルも素晴らしく、一度は発注したこともありますが、良い作品で二回、三回と発注を続けたこともありますが、そのうちにトラブルが出ます。そのトラブルは解決できません。結局、解雇となります。

このような人たちは筆者は翻訳浪人と読んでいます。アメリカでかなりな英語力を身に付けた人が翻訳会社の在宅となるのですが、自己中心の翻訳の展開のため、翻訳会社を解雇された人たちなのですが、次のクライアントを狙ってセールスをするのですね。何年かに一度はぶつかります。高度な英語を持っていながら、勿体ない人生を送っている訳者です。このような訳者には私たちはなってはなりません。

自分以外の人にやらせたいなら個人としてではなく会社という形をとるなりして仕事を受ける。そのうえで人を雇い、会社として個人と同等のクオリティの商品を納めるというふうにしなければいけないと思います。

英語かけこみ寺へ