ジェントルマンクラブに行く

ロンドン月曜日

10時にユニクロに行き、買い物をすべて済ませ、サンドイッチを食べて、4時からの商談予定の会社を訪問する。この会社は面白い会社で、イギリスの会社なのに社員は日本人のほうがに多い。ゲームソフトを制作しているこの会社の社長は 「イギリス人は6時になるとすぐに帰ってしまう。そのため、納期を守るのが大変である。その分、日本人が寝ないでやっています」と言っていた。日本人の勤勉さはイギリスでも有名だった。

ロンドン火曜日

午前9時半にH君とロビーで落ち合い、遠出した。商談は11時から始まったが、2時間以上も続いた。英米人の商談はリラックスして行われる。足を組もうと腕を組もうとまったく自由である。面白かったのはそのうち相手が手を頭の後ろにして、背もたれにもたれかかって超リラックスした姿勢をとり始めたが、それでもリラックスが足りないのか、真ん前のテーブルに 両足を投げ出し、半分寝ているような姿勢になったことだ。寝ている姿勢なので英語が良くわからない。リラックスした商談の大好きなアメリカ人とでもこのような姿勢の商談は筆者には経験がない。

商談が終わったが、頼んでもらったタクシーがなかなか来ない。強い風が吹いており寒い。夏でこんなに寒いなんて北海道の旭川だってないだろう。他のタクシー会社に電話をしなおしたほうが良いのではないかとH君に提案し、そのようにした。ところがこの会社のタクシーもすぐに来ない。

ロンドンではどこに行ってもタクシーだらけだが、ロンドンを外れるとタクシーはなかなか来なくて不便なのがイギリスだ。タクシー代が高いのも不満だが、ロンドン以外はタクシーが来ないというのも日本では考えられない。

次の商談がロンドンなので ゆっくり昼食をとっている時間はない。でもH君も私も朝食をとっていないので空腹である。駅のファーストフードでサンドイッチをテイクアウトして風がビュービュー吹く駅のベンチで食べた。 午後4時からヒルトンホテルのロビーでクライアントと待ち合わせ、コーヒーショップで商談した。この会社の担当者は日本人である。日本語が不得手なH君のため、打ち合わせは英語ですることになった。初めてだったので私から会社の簡単な紹介をさせてもらい、あとはH君に引き継いだ。途中で私だけ席を外してトイレに行き、帰ったら二人がいない。どこに行ったのかと思ってみたら、隅でラップトップを見ながら打ち合わせをしている。電源がなくなったのでACコンセ ントのそばの席に移動したのだ。

このようなとき、東京の一流ホテルのコーヒーショップでACコンセントのそばに移りたいとわがままを言っても断られるだろう。アメリカと同様でイギリスは融通性がありこれは良い点である。 盛り上がる2人の会話を聞いていて面白いと思ったのは、クライアントは英国の会社だが、担当者は日本人、弊社は日本の会社だが、担当者は英国人、それで日本のゲームの英語化という商品を英語で売ろうとしていることである。グローバリゼーションが進むとこのようなシーンが当たり前になるのであろう。

ホテルに帰ったら驚いたことにバッゲージがアリタリア航空から届いたと言うではないか。「えっ、お金と時間を使って必死になって生活必需品を揃えた後なのに」とも思ったが、やはりホッとした。今日、ユニクロで買ったYシャツを着たが、 カジュアル過ぎて気に入らない。下着は変わっていると面白がっているが、やはり落ち着かない。バッゲージが戻ったので自分に戻れるかも知れない。

ロンドン 水曜日

午前11時にロンドンにあるジェン トルマンクラブにクライアント会社の社長から呼ばれている。H君はこのようなクラブには行ったことがないため、どのような所か楽しみにしていると言っていた。私は東京ではこのようなクラブには何軒も行ったこともあるし、銀座のそれに似たところの会員になった経験もあるので、「ロンドンにそんなに良いジェントルマンクラブがあるわけがない」と反駁していたが、やはりそうだった。

面白いと思うのは、アメリカでGentlemen Clubという言葉は使えない。女性に対する差別になるからだ。イギリスの女性はこのような言葉に目くじらを立てない。イギリスでは議長のことを Chairmanと言っても問題にならないが、アメリカではChairpersonと言わなければならない。Salesmanも同様でアメリカでは Salespersonだ。女性鉄血宰相サッチャーが生まれるイギリスでも、女性はこのようなことについては寛大なのだ。同じ英語圏でも英国とアメ リカの文化はかくも違う。

さて、ジェントルマンクラブ。アメリカ人でない私でもこの言葉を書くと笑いたくなる。今どき、ジェントルマンクラブと言ったら、男性専用のいかがわしいところかなと思ってしまう。それでもその名前を変えないのが英国人の頑固さなのだ。EU加盟国なのに、外国人にはわかりづらいポンド貨幣を変えようともしないイギリス人のこだわりだ。

そのジェントルマンクラブだが、 雰囲気もそれほど良いわけではないし、サービスしてくれるのもソフトドリンクだけである。日本なら有料にはなるだろうが、アルコールは出るだろう。

そこで私は相手に”How long have you been the member of this club? (このクラブのメンバーになってどのくらいですか)と聞いたら、少し考えて10年と答え、日本の有力なゲームメーカーの社長に紹介したりすると自分もメンバーになりたいと言っていたと自慢していた。

夕食はレバノン料理

夕食はレバノン料理にした。このレストランは私の行き付けで、美味しいのは良いのだが、本格的レバノン料理なのでメニューを選ぶのが大変である。そこでレストランのオーナーに好みを言ってお任せした。この「お任せ」が大当たり、小盆五品がすべて美味しい。レバノンのワインを飲みながら料理を満喫させてもらった。これで支払は三人で約10,000円も行かない、ワインも込みですよ、読者は信じられないか も知れないが、一昨日来た時も同じくらいだった、ロンドンの食事代は高いと世界的に有名なのにこのような店もある。イギリス人には知られていないレバノン料理だからかも知れない。

パブは黒ビールの大ジョッキが200円!

帰りにまた行きつけ(?)のパブに寄った。ロンドンのパブはビール党にとってはたまらない。 ギネス同様のSamuelというブランドの黒ビールが大ジョッキで200円だ。5杯飲んで1,000円ですよ。普通ののんべなら1,000円で酩酊状態になる。日本の居酒屋よりかなり安い。

このオーナーママと話し込んだ。このパブのオーナーだと思っていたが、そうではないと言う。5階建てのビルを丸ごとサブリースされて、3階までのパブを経営し、4階と5階は自分たちの住まいとして使う。経営委託である。日本にはこのビジネスモデルはない。最も似ているのが、スーパーやデパートなどでの飲食店の出店である。

日本では、デパートで出店する場合は保証金ゼロ、家賃は売上の1割くらいである。デニーズ標準店は月3,000万円を売る。そうすると家賃はその1割だとして300万円、これはデパート側にとっても儲かる。ちなみにマクドナルドは銀座三越の1号店からこの方式である。

ロンドンの場合は経営まで任せてしまうのだ。うまくいけばオーナーと経営者にとってともに利益が出る。

ママに聞いてみた。「オーナーとそのような契約をするには書類審査から面接まで大変なんでしょうね」 と。ママは「大変よ」と言ったあとに、「あなたが一人の社員を入れるときには大変な作業をしますよね。それと同じですよ」と言われたのは私にとってギャフンだっ た。

<英会話応用>
レバノン料理店でお任せを頼む (Ordering food at a Lebanese restaurant)
レバノン料理のことが良く分からないのでお任せで頼めますか (We are not familiar with Lebanese cuisine, so can we ask to leave our menu to you?)
はい、けっこうです。嫌いなものは何かありますか。(Yes, that’s fine. Do you have anything you don’t like?)
マトンは嫌いです。生野菜は問題ありません。(We do not like mutton, raw vegetables are OK.)
マトンは初めてなので少しだけ作って貰えますか。(Since we never had mutton before, could you prepare us some?)
ワインを入れて合計で60 ポンドくらいにしていただけますか。(Can you get our total to be 60 pounds or so with wine?)

プロローグへ