ロンドンへ
バッゲージが行方不明

ロンドンに到着してBaggage claim(荷物を引き取るところ)で待っていたが、コンベアーがいつまで待っても動かない。12時間のフライトと睡眠不足で疲れているので一時間も立ったままで待つのはつらい。事情を聞こうとしても空港係員が一人もいないのである! これも英国病と思ったが、この病(?)に慣れているのか、英国人は辛抱して待っている。

コンベアーが動き出した。同行した家内の荷物は出てきたが、私のは出てこない。私と同様に自分の荷物が出てこないので待っている人は大勢いる。同じ飛行機で通路を隔てた席に座っていたイギリス人男性は本を読みながら待っているし、ロンドンに休暇で来たようなアラブ人夫婦も我慢しながら待っているので、私ももう少し待つかと考え直した。

そのうち 違う到着便ではないカウンターが動き出した。そこから自分の荷物を見つけて空港を出る人もいる。何故違うカウンターからなの? 30年前のアラブならいざ知らず、ロンドンでなぜこんなことが起こるのと憤懣やるかたないが、仕方がない。あちらこちらのカウンターも見に行ったが、見つからない。もう2時間を経過して、午後11時になる。さすがに荷物は諦めてホテルに行こうと決めた。 そこで航空券発行会社のアリタリア航空のBaggage claimのカウンターに行った。同様の問題を抱えている人が並んでいる。それぞれの人に対応するのが海外では日本と違って時間がとてつもなくかかる。とにかく能率が悪いのだ。

日本と海外の航空会社の根本的な違いは日本の航空会社は乗客に対して完全に満足のいくような対策を考えようとする姿勢があるのに対し、外国の航空会社のそれはおざなりなことである。出来るだけ自分の会社の負担にならないように、損をしないようにと言う態度なのだ。だからユーザーが泣き寝入りしたら大損である。IATAで決まっている補償額は確か1,500ドルか2,000ドルだったと思うが、今どき、自分の荷物がなくなって15万円 とか20万円で納得する乗客はいないだろう。だから後のトラブルを考えると高くても日本航空や全日空に発券を依頼したほうが得とも考えられる。

ホテルに着いたのは10時半に着く予定が2時間半も遅れて午前1時、チェックインしたら部屋が寒い。暖房をかけても効かない。夏なのでもとから切られているようだ。シャワーを浴びたら午前2時である。寝ようと思ったが、パジャマは行方不明の荷物の中だ。着ているTシャツとパンツ一枚で寝るしかない。棚に置いてある毛布を引っ張り出して掛け布団の代わりにして寝た。

泥のように寝たのだが、5時半に起きて眠れない。くたくたに疲れているのだが、時差と昨夜の事故で興奮しているのだろう。 海外旅行にトラブルは付き物である。筆者も海外旅行は60回を超えるが今回のようにバッゲージが出てこないということが4回あった。一番ひどかったのは年末に家族でアメリカのマイアミに行ったとき、乗り換え地点のシカゴで家族三人の荷物が出てこない、三人ともアメリカで最も寒いシカゴで夜を過ごし、マイアミまで荷物なしでいったことだ。

コペンハーゲンではバッゲージを待っている間にパソコンを入れておいたセカンドバッグの盗難にもあった。それで空港警察にも行ったがとても聞いてくれる雰囲気でもなかった、家内には「世界で最も安全なのはデンマークだ」と言っていた私に家内は今でも悪たれを付いている。

昨夜の夕食も満足に食べていないので、チャイナタウンで朝がゆでも食べようということになった。タクシーで行く距離ではないとホテ ルの人が言うので歩いていったら15分歩いても着かない。近道を知らないこともあり、人に聞きながら行ったので30分くらいかかった。もうへとへとであ る。

ところが10時を過ぎていたが、オープンしているところはどこもない。ホテルの人に聞いたら早くからやっているところもあるとのことだったのにとんでも ない誤情報だ。どこも11時にならないとオープンしないではないか。「今さらホテルに帰ってまた戻れるか」と待つことになったが、座るようなところはな い。立っている元気もないし、疲れていることもあり、寒い。ロンドンの夏は寒いのだ。日が当たる中国料理店の門の階段に座ってボーッと30分以上待っていた。

そうしたら11時にならないのに入れてくれる店があったので、そこに入った。 世の中は悪いことが起こると次は良いことが起こるものだ。この 店は素晴らしかった。以前、書いたように私は中国料理店経営の経験があり、中華は素人でないが、この店は中国料理店の五本指に入るような店だったのである。感激した私は疲れがいっぺんに飛んでしまった。特に点心が素晴らしい、「ベトナム風春巻」なんて北京でも上海でも食べられないのではないか。地獄の中の極楽になった。紹興酒で気持ちよく酔い、タクシーで帰った私はホテルで3時間ほどぐっすりと寝られた。

<英会話応用編>
I’m trying to go to baggage claim, do you know where it is? (バッゲージクレームに行きたいのですが、どこか教えてくれますか)
Our baggage did not come out. How can we resolve this problem? (私たちのバッゲージが出てきません。どうしたら良いですか)
Please fill out a baggage claim with your signature. (このバッゲージクレームに記入してください、そうして署名をお願いします)
Ok. Please give us a copy of your boarding pass and tag sheet. We need them. (はい、わかりました。搭乗券コピーとタグシートはコピーが済んだら帰してください。私たちはそれが必要です)
When do you think our baggage will arrived? Can you return our baggage to our hotel? (バッゲージはいつ到着しますか。ホテルまで届けてくれますか)
Yes, we will transfer them to your hotel as soon as they arrive. (はい、到着次第、ホテルまでお届けします)

ロンドン 日曜日

昼寝を終えたら買い物である。明日から仕事なのに髭剃りもないし、パウダーもない。パジャマも欲しいし、下着と靴下も必要だ。水曜日に会うクライアントとはジェントルマンクラブで会議なのでネクタイも用意しておきたい。携帯用の変圧器とかヨーロッパ用の電源アダプターも買わなければならない。出発前に持参するものをメモしたエクセルシートの印刷した紙を持ってきていたのでそれを見ながら必要な買い物をチェックし始めた。けっこうある。生活するための必需品だから当然だろう。

すべて揃えるのはスーパーマーケットが良いだろう。どこが良いかホテルの人に相談したら一箇所では無理だが、二箇所で済みそうである。先ず下着と靴下、それから髭剃りとパウダーと優先順位に従って買い始めた。簡単な買い物のはずなのにけっこう難しい。日本のスーパーと並べ方などが微妙に違う。サイズの表示方法も異なる。靴下なんかは子供用を買ってしまった。 パジャマを買おうと思ってデパートに行ったらもう閉店である。洋服を売っているようなところはどこもぴったり6時で閉まってしまうのだ。アメリカのWalgreenなら24時間営業している。イギリスの企業にはこのような考え方はない。ここにも英国病が見える。

いずれにしても今晩はまたパジャマなしで寝るしかない。明日は月曜だが、午後4時の商談だけにしておいてよかった。午前中に不足の分を買えるからである。

夕食後、やることがない。相変わらずパソコンは繋がらない。ブリーフケースに入れておいた本は二冊だけ、一冊は難解な哲学書、一冊は反対にやさしい成功体験談。飲んだ後なので難解なものは読む気にならない。やさしいほうはかなり読んでしまっていて残り少ないので、読んだら今晩で終わってしまう。そうするとリラックスしながら読むのがなくなってしまう。明日、時間があったら本も買わなければならない。

仕方がないのでテレビで映画を見た。ハリウッド映画はいつも日本語の字幕で楽しむのだがロンドンでは字幕は出ない。10%くらいしか聞き取れなかったが、僅かに聞き取れた会話から類推して筋もわかり、けっこう楽しめた。字幕なしでも映画が楽しめるなんて新発見だった。

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