何処に行ってもジョークの国、イギリス

昼食にホテルの近くのサンドイッチの店に行った。ここは個人でやっている店である。いろいろ注文して、いくらと聞いたら、そのオーナーは100ポンド(1万6千円)と答えてきた。笑いながら私はポケットからあるたけの小銭を出して、これで払いたいと言った。数えたら少し不足なので、私は今度は10ポンド札を出した。そうしたら先ほどの小銭を返すと言うのでそれは嫌だと言った。オーナーはわかったと言い、それをレジに入れ、その分を引いてお釣りをくれた。小銭が少なくなって助かった私はI like this.(これは気に入った)と言ったら、彼はI like you.(私はお客さんが好きだよ)と混ぜっ返してきた。イギリスはジョークの国である。日本なら忙しい昼時にこんなやり取りをする店はない。

午後は客先訪問。地下鉄がまた遅延。遠回りをして乗り換えて目的の駅に行き、そこから列車に乗ろうとするが、どこから乗ったら良いかわからず、右往左往する。切符を買ったところから列車に乗れないのである。乗れる場所まで迷わずに行っても10分かかる。成田空港で国際線に乗るのと同じである。H君に「これが先進国イギリスなのか」と皮肉を言ったらI’m sorry.と答えてきたので、That’s OK.(まぁ、いいよ)と慰めた。英国の公共交通手段は日本のスタンダードから言ったら滅茶苦茶である。英国人はそれを我慢して使っている。

H君は今度は「汽車が出そうなので急いでくれ」と言うので私は「嫌だよ、急いで行ってもまた出発が遅れるのなら、次の汽車で行くよ」と拒否した。冗談ではな い、勝手に遅れる汽車のスケジュールに何で振り回されなければいけないんだ。

訪問先に着いた。社員25人くらいの小企業なので社長が出てきた。日本の企業と違ってこのくらいの規模の場合、新規案件は英米の場合、担当者とともに社長が必ず出席する。このほうが私は良いと思う。この社長は50 歳少し前のやり手のアメリカ人ビジネスマンのようである。日本の中堅会社との折半出資により設立した会社なので日本の事情にも詳しい。私が多少でも英語が わかると思ったこの社長は質問を私にぶつけ始めたので久しぶりに少し緊張した。下手な英語でも脚本と異なるプレゼンに私も参加したので面白かった。

アメリカほどひどくはないが、イギリスのゲームソフトのマーケットはひどくなりつつある。この会社もそれに影響を受けている。だが資金もそれほどないので試行錯誤しながら、悩んでいるのがよくわかった。 しかもこの社長は出張から帰ったばかりで時差に苦しんでいると言う。そのせいか、私たちのプレゼンについての感想を求めたら、ハッキリものを言うタイプのこの社長がコメントしない。担当者は気に入ると言っているのにだ。でもこの辺は私はアメリカの企業同様、イギリスの会社も良いと思う。日本の企業のように「後ほど検討します」より余程良い。後で考えを変えても時差ぼけだったというほうが文脈はわかりやすいし、話は早い。

ロンドン出張続ける
スピーディな商談であり、帰りは汽車の遅延がなかったのでロンドンに6時前に着いた。H君が、私が行きたがっていたパブでビールでも飲みながら打ち合わせをしようと提案してきたのでそのパブに行った。イギリスのパブはアメリカのバーでもそうだが、さまざまなビールがあり、しかも味見をさせてくれる。H君は、初めに味見をして飲んだビールのお代わりをするかと言われたので、もっと変わったのを飲みたいと言ったらパブのオーナーと相談して薦めてくれたビールが美味しい。忘れっぽい私は早速、Samuel SmithのBlackと早速、手帳に書いた。ロンドンのパブならどこでも置いてあるそうだ。

ビール党のH君は酔いもあり、のってきて薀蓄を聞かしてくれた。曰く、ビールはローカルブランドのほうが美味しいが世界的なブランドで唯一美味しいのはギネス。だが、ギネスも本場のアイルランドに比べたらイギリスのギネスは劣ると。欧米のビール党に言わせたら日本のビールはまずいはずである。日本の文化はここでもステレオタイプで画一的で、面白みに欠ける。

ビールは気に入ったが、雰囲気が気に入らないので、H君と別れた後、もう少し高級なパブに 行った。このパブは高いのでビックリした。グラスワインで一番安いので7ポンド(910円)である。それでも、値段ほど美味しくはない。子牛の料理をとっ たら3,000円だ。なぜそれでも客が来るか、雰囲気が良いからだと思う。 飲食店の雰囲気は客によって決まる。どんなにインテリアが良い店でも客層が悪かったら台無しである。ここは客層が良いのでテーブルのローソクも映えるのである。気がついたらこの店は昨夜行ったフランス料理店のほぼ隣だった。 客に対して明確なメッセージをこの店も出している。

ロンドン最終日  昼間のパブ
本日は訪問先はない。昼間のパブの雰囲気も見たかったので、昨日はじめに寄ったパブに行く。午後12時オープンと同時に客が入り始める。ランチタイムの休憩時間に一人で来てビールを飲むのはロンドンだけだろう。

そのうち書類やノートなどを持参して打ち合わせをする人たちが五人で入ってきた。それぞれ生ビールを大ジョッキで飲み、乾杯した後に打ち合わせを始めた。パブはレストランよりかなり安い。ちなみにこの店なら大ジョッキのビールと定食で千円少しで済む。

パブに行かなかったらイギリスは理解できないと言われる。私はそんなことはないと 思うが、イギリスではパブで自由に議論し、友人をつくり、ビジネスを発展させる。日本にはソーシャルライフ(社交生活)がない。居酒屋はあっても居酒屋で 友人ができるのはまれである。イギリスのパブでは2時間もいれば何人もの友人ができる。

二極化が進むロンドン イギリスではアメリカと同様、富裕層と貧困層の二極化が進んでいると言われている。レストランも高く、交通手段も高いのでは一般層は外食もままならないだろう。ロンドンではインターネットの普及と嗜好の変化もあり、若い人が新聞を購読しなくなった。そのため大手新聞社が夕方地下鉄の駅で無料で新聞を配り始めている。無料の新聞を地下鉄で読むのはロンドンでは普通の光景である。でも元気さは感じられない。

そういえば紳士の都、ロンドンでビシッとスーツを着こなしている人に会ったことがない。 東京ならJRでもたまにそのような人に会う。ロンドンの平均月収は1,000ポンド(16万円)だそうである。それでは妻子は養えないのでいろいろ工夫をしているそうである。ホテルに朝の4:45にホテルに来てもらったタクシーの運転士はパートでやっていると言っていた。早朝から大変だなぁと思ったが、違うようだ。彼らは売り上げの30%の報酬をもらう。早朝で道路が空いていても空港までは50ポンド(8,000円)である。片道30分だから帰りが空でも 1時間2,400円の収入になる。帰りに少し待って客がつけば最高だろう。

二層化が進んでいるイギリスの経済、それでも、もともと階級社会であるイギリスでは不満はあっても一般の人は「我慢の子」を平気でする。このままだったらイギリスは変わらないだろう。

<英会話応用例>
日本のビールも美味しいが、イギリスはビールの種類が極めて多い。
(Though Japanese beer is delicious, Great Britain has a large number of beers.)
それぞれの地方でもいろいろな種類があるのでイギリス人はとてつもない種類のビールを楽しんでいる。
(Each region has different kinds of beers, and the British love to enjoy lots of beers.)
しかしながら、これらのブランドはローカルブランドに過ぎない。ギネスは世界的ブランドです。
(However, those brands are only local brands. Guinness is a global brand.)
イギリスにはギネスがあるが、隣のアイルランドに比べると比較にならない。この二つのブランドはあまりにも違います。
(Although Great Britain has Guinness, British Guinness is inferior compared to the Irish Brand. There is a big difference between these two brands.)


プロローグへ