3人でつまみは餃子だけでパーティになる

話は変わって別なアメリカ人スタッフ、ジャックのマンションにはじめて行きました。私は成果物(finished product)さえ、もらえばいいと思っていたのですが、「入って飲んでいかないか」Why don’t you come in for a drink?と誘われました。
奥様のヘレンにも誘われた上、急いで帰る必要もなかったものですから、「それは面白そうですね」(That sounds great.)と言ってジャックの家に上がり込みました。
玄関に続く居間のソファに座りました。ジャックは居間にある冷蔵庫から缶ビールを2本出してきてグラスにつがずそのまま乾杯です。ヘレンは飲めないからとコーヒーもお茶も飲みません。つまみは何もありません。私は心の中で「何かつまみでも出してくれないかなぁ」と思っていました。

ジャックにはいつもプルーフリーディングや英文編集を依頼していました。仕事はとても良い仕事をしてくれます。「何かつまみでも出してくれないかなぁ」と私は思っているのに、ジャックは分厚い英々辞書を持ち出してきました。そして"This is my Bible." 「これは私の辞書なんだよ」とその辞書について御託を並べ始めました。まぁ、ジャックにとっては自分の愛する仕事のベストフレンドについて語りたかったのでしょうね。

話は戻りますが、日本人の場合、訪問客に「飲んでいかないか」と誘った場合は大騒ぎになります。調理しなくても食べられるありったけのつまみを出した上で奥様が特別メニューを作り始めるか、上寿司の出前でもとるとかするようになります。
アメリカ人は知人を自宅に呼ぶのが大好きです。それが付き合いのはじまりなのですね。しかし、呼んだからといっておおげさなことではなく、日本人のように見栄をはったりしません。
日本人は飲むときはつまみが必要ですが、アメリカ人の場合、つまみなしでも平気です。
そのうちヘレンがどこかで買ってきたのか餃子を大量に焼いてきました。私はやっとつまみにありつけたわけです。

そのうちジャックの友人から電話がかかってきました。そうしましたらジャックは
We are having a gyoza party now. (餃子パーティを今やっているんです)と言っているんですよ。その上、Why don’t you join us? (どう、参加しない)と誘っています。
私はこのとき「へぇー、これでパーティーになってしまうのだな」と思いました。参加者は3人。出ている料理は餃子だけです。
つまりアメリカの文化では人数が3人だろうと、飲み物やつまみがあろうとなかろうとりっぱにpartyになってしまうわけです。

partyという言葉をここまで理解するには英米文化を理解することが必要になります。
英米文化の理解をしておかないと単語やフレーズを覚えても意味がないことはこれでおわかりいただけたと思います。

繰り返しますと、大事なことは、英単語は文脈で覚えないと使えない、できれば英米文化を理解する中で記憶するべきであるということです。

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