アメリカの大晦日はきちがいのように騒ぐ

アメリカで大晦日を過ごしたことのない私はホテルのコンシアージュ (Concierge) にどこに行ったらよいかと相談しましたら、新年を祝う(celebrate New Year's Eve)のにふさわしい店としてBlack Catというカフェを紹介してくれました。
3人で申し込んで150ドルで予約するとのことです。飲み物別でも少し安いなぁと思いましたが、勝手にイタリア料理だからそんなものかしらと思い直して夜の10時半頃そのレストランに行きました。
その店に入ったらGood evening!とあいさつしてきた受付の女性従業員が目を黒いマスクで隠し、黒いイブニングドレスを着ていて怪しい雰囲気なんですよ。

「これは面白そうだ」と思って案内されて奥に入って行きました。
店はほぼ満員です。席に着いたら燕尾服のウェイターの人がメニューを持ってきました。さっきの150ドルで何のセットが取れるのかと聞きましたら何と150ドルと言うのは1人分だったのですね。
飲み物抜きのセットメニューで1人150ドルというのはアメリカでは決して安くありません。もっとも物価の高いサンフランシスコで高級なカフェならそのくらいは取りますかね。
「何を間違って英語を聞いているんだ」と連れから文句は言われたりして私は落ち込んでしまいました。
このミスはおそらく1人分という英語(a personかper person)をうっかり聞き取らなかったのだと思います。

さてやっと気を取り直してメニュを読み出したのですが、何の料理かさっぱりわかりません。そこで分け合って食べてよいか(share food)と聞いたら生意気にダメと言うんですよ。でもまわりを見たらみんな適当にやっています。そこで私たちも別々のものを適当に頼みました。
そしたら次から次へと想像もしないものが出てきます。もしかしてこれも私の聞き間違いなのでしょうか。私ってそんなに英語が下手なのかとまたまた劣等感に襲われました。
「でも、まぁ、いいかぁ」と気を取り直しまして、飲み始めました。

12時近くになったらシャンペンが音を立てて抜かれた後、各テーブルにサービスされ、クリスマスなどのときにかぶる厚紙の帽子や笛、鐘が配られ始めました。テーブルの上あたりから天井までの空間には大小さまざまな風船がふわりふわりと動いています。
大騒ぎの予感がします。

12時5分前から「蛍の光」の演奏が始まりました。ロンドンでは一度大晦日の経験があるので「蛍の光」を聞いたことがありますが、アメリカでは初めてです。やはり良いですよねぇ。スコットランド民謡のメロディーに酔いしれてシーンとしています。12時が来ました。誰が始めたのかわかりませんが、Happy New Year!とコールが始まりました。途端に笛と鐘や太鼓の音、そして人々の嬌声や笑い声でるつぼが始まりました。どうにもならない大騒ぎ、もう大声で話しても聞こえません。

ふと向こうの2組のアベックを見るとニコッとしてきました。私もニコッとしたら「来い」と手招きしているんですね。
行きましたらカップルの女性2人が私の隣に来て座りました。それどころか、肩を組まれ、しっかりと頬を寄せ合って写真を撮られ始めました。いくら大晦日でも、アメリカ人ってはじめて会った異性に何でこんなに密着できるんでしょうね。いやぁ、あまりの素早さと強引さにびっくり仰天です。
恥ずかしいので、飲みたいのですが、お酒が傍にありません。
自分の席に帰ろうと思っても相手が帰してくれません。「飲んで楽しんで」(Drink and have a fun.)と言うんですよ。
「そんなこと言ったって私のドリンクはあっちにあるんですよ」"You say that way, but my drink is over there."と言ったら、「このワインを飲んで」"Why don't you drink this wine?" とワインが注がれます。

二人の中年男性の奥様だと思いますが、中年の美人女性は日本のオジサンをからかいます。"Are you not happy with us?" (私たちだとつまらないかしら)。「そんなことありません。最高です」(Oh, I'm happy, indeed.) That's fantastic! Go on, drink next wine. (それはいいわね。もっと飲んでね)。つまみがないからと言ったら、いろいろ自分たちの料理から取ってくれます)。それでまた飲まされます。その後はまた頬を寄せられるのです。嫌ではありませんが、冗談が過ぎますよね。

さんざんからかわれたりしているのをゆっくりと楽しみながら見ていた片方の女性のご主人と思われる人が、ゆっくりと「日本では大晦日はこんなに騒ぐか」(Are you enjoying New Year's Eve like this way?) と聞いてきたんですね。私は「日本的なものさしから言うと、これはほんとにきちがいです」(According to Japanese standard, it is really crazy.)と言ったら大笑いして喜ぶんですよ。アメリカ人って笑うタイミングをいつも待っているんですよねぇ。
連れがいるので私もずっーとこの席に座っているわけにはいきません。そのことを言ったらこちらに連れてこいと言うのですよ。言うだけでなく手招きしています。来ないものですから今度は私の手を持って手招きしろと言うのです。心の底で「あなたの強引さには負けました」と思った私は一生懸命に手招きしましたので連れもシブシブ来たのですね。そうしたら早速私たち用にワインをもう1本追加でオーダーされてしまいました。
もうここで飲むしかないですよね。そう思って飲みだしたら、酔ってきました。うるさいし、お酒は回ってきましたし、もうお互いに何を話しているのかも分からず、それでも大騒ぎです。
日本人からもこんな飲まされ方をされたことはないのに、サンフランシスコで、しかもアメリカ人に何でここまでやられてしまったのでしょうか。
まさにクレージー・ニューイヤーズ・イブ(Crazy New Year’s Eve in San Francisco)です。
取られた写真をこの記事に貼らせて貰いましたが、航空便の封筒が見付からず、お礼のお手紙を出せていません。この記事をお読みになったらご連絡ください。またお会いして Crazy evening をご一緒したいと思います。

(応用例)

a person 1人当たり
It costs $120 a person. 1人150ドルになります。
a day 1日当たり
I’ll pay you 80 dollars a day. 1日80ドル払います。
a year 1年当たり
We are entitled to have a 20 days paid-vacation a year. 私たちは年間有給休暇を20日間取ることができます。
注: be entitled to ~ は「~ する権利がある」。can は口語的ですが、be entitled toは文語なので、文章でいつでも使え便利な表現です。

ただし正式な文書ではa year (1年当たり)ではなく、perを使う。
per person, per man, per head 1人当たり
It costs you $120 per person. 1人120ドルになります。
per day 1日当たり
The room rate is $250 per day. 宿泊費は1日250ドルです。

新聞などではper capitaが使われることもある。
per capita 1人当たりの
annual per capita consumption of beer in Japan 日本におけるビールの年間消費量

crazy
気が狂っている
He is crazy to do that. あんなことをするなんて彼はどうかしている。
According to Japanese standard, it is really crazy. 日本的なものさしから言うと、これはほんとにきちがいじみています。
注: standard 標準、基準
例: living standard 生活レベル safety standards 安全基準

crazy
夢中である
He is crazy about her. 彼は彼女に夢中だ。
I’m crazy about the new job. 私は新しい仕事に夢中です。

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