【 第2章-8 】
  初体験! フィンランドの女性と踊る

 ヘルシンキにある取引先を訪問しました。フィンランドにもこんな大きな会社があるのかと思うほど大きな会社でした。
 英語はお互いに母国語ではないので、 聞きとれないということはまずありません。 また商品も特定しているし、 トピックも限定されていますから、英語による商談は難しいということもありません。
 取引先の人に夕食に招待されました。
 連れて行かれたところは普通のレストランでしたが、驚いたことに、そのうちホールで次々とカップルが踊りだしたのです。

――Why don't you dance?
(踊ったらいかがですか)
――You should have an experience of dancing with a Finnish woman.
(フィンランドの女性と踊るという体験も、いいもんだと思いますよ)
Well, it's a good idea.
(それはよい考えですね)
But with whom can I dance?
(でも誰と踊るんですか)
――You can ask any woman sitting.
(座っているお客の誰かを誘えばいいんですよ)

 誰かを誘って踊れと言うのです。
 ところがよく見ると、女性どうし、あるいは一人で来ている女性はいません。みんな男性同伴なんですよ。しかし、それでもかまわないと言います。
 そんなこと言ったって I can't do it. (そんなことできませんよ)と言ったら、その取引先の一人が、自分がやってみるからと言って、女性を誘って踊りだしてしまったんです。
 もう引っ込みがつきません。
 男性同伴の女性を誘うなんて図々しいと思われないかと恥ずかしかったのですが、「仕事だ、やむをえない」と懸命に自分に言い聞かせながら、なるべく人のよさそうな女性のところに行き、

Can I dance with you?
(踊っていただけますか)
と言ったら、
――My pleasure.
(喜んでお相手します)

と踊ってくれたので、ほっとしました。

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