【 第3章-21 】
  enjoybeautiful

 今日は暑いアラブを脱出して、やっと日本に帰れると思っていました。
 ところがリヤド空港に着いてcheck in(搭乗手続き)をしようとしたら、私の予約がないと言うんです。航空券にはOKと書いてあるんですよ。
 航空会社の係員はミスを認めたものの、今度は満席で席がないときました。そんなぁ、ムチャクチャですよね。
 すったもんだの挙げ句、

We have a seat available at the first class.
You will be upgraded to the first class. OK?

(ファーストクラスなら空いているので、格上げされることになりました。よろしいでしょうか)

と言われました。私は上機嫌でSure.(いいですよ)と答えて、ファーストクラスに乗り込んだわけです。

 upgrade は、このように、何かが格上げされるときに使用される言葉です。ソフトウェアのバージョンアップはupgrade versionと言います。
 これとよく混同する言葉にupdate というのがあります。これは「更新する」という意味ですね。
よくインターネットのホームページで最終更新日とありますが、これは英語ではLast updated.となります。

 さてファーストクラスに生まれて初めて乗った私は、となりの外国人にHi! とあいさつして、ゆったりした席に座りました。
 客室乗務員がWould you like to drink something?(何かお飲みになりますか)と聞いてきましたので、かっこよくChampagne, please.(シャンペンをお願いします)とシャンペンを頼んだのですね。
 さて隣の外国人はアメリカ人で、サウジアラビアにはやはり売り込みに来たと言うんですよ。
 すっかり話が合ってしまい、時間も忘れて話し込みました。
 その中でオーストラリアの話になったとき、

We are enjoying beautiful business there.
(そこでは私たちは、すばらしいビジネスをしています)

と言ってきたんですね。私はこんなところにbeautiful を使うんでビックリしましたよ。でも印象に残りますね。
どうですか、

We are enjoying very good business there.

と比べてみてください。beautiful のほうが英語らしいかっこよさがあって、断然いいですよね。
 つい最近もパソコンのフォントについて、あるアメリカ人と一緒に、いろいろパソコンをいじりながら調べていました。
 そうしたらあるところに、私たちが探していたデータが表になっているのがみつかったんですね。
 それが出てきたとたんに、そのアメリカ人はbeautiful. と言ったんですよ。こんなふうにbeautiful を使えたら、 それこそカッコいいですよね。
 beautiful weather とかbeautiful machine あるいはThat's beautiful. とか、多少間違っていてもかまわないですから、ぜひ使ってみてください。
 最近出会った表現で、

Unless you see our product, you cannot know the beauty of it.
(弊社の商品を見ないかぎり、その素晴らしさはわかりませんよ)

というのがありました。beautiful の代わりにbeauty と名詞にして使っているわけですね。
 聖書についての解説本には、

They missed the whole beauty of the Bible.
(彼らは聖書にこめられた素晴らしさを理解することができなかった)

というのもありましたよ。

 聖書から話はいきなり落ちますが、beautiful businessで思い出すのが、日本語の「おいしい仕事」とか「その商売、おいしいねぇ」という表現です。ちょっと似ていますよね。
 この言い方は、日本語がかなりうまい外人でもわかりません。
 私がある日本語の上手な外人タレントと一緒に仕事の話をしていたとき、ある日本人が彼に「その仕事はおいしいですか」と聞いたんですね。
 そのタレント氏は目をシロクロさせていましたので、私が代わりに「おいしいですよ」と言って場をとりもったことがあります。

 enjoy というのも誰でも知っている言葉なのですが、これも日本人は意外と使い方がうまくありません。つまりこの言葉とピッタシ同じ言葉が日本語にはないからです。
 例えば「趣味は何ですか」と聞いたとします。日本語ですと、答えが「釣りと読書とたまに旅行です」でおかしくありません。
 英語にこれを翻訳すると、

Fishing, reading and occasionally travelling.

ですが、英語の会話では、

Fishing, reading and I occasionally enjoy travelling.

のようにenjoyを使ったほうがなめらかな英語になります。

 occasionally は「たまに」です。似た言葉にsometimes(ときどき)がありますが、sometimesのほうが「頻度が高い」ときに使います。さらに高くなるとoften(しばしば)となります。 このような「時」に関する言葉は文中のどこにいれたらよいのかとよく聞かれますが、文章のはじめか最後です。yesterday last year、tomorrow なども、はじめでも最後でもいいと思いますよ。

 enjoyにもどります。 英語では、

My company enjoys the confidence of customers.

などとenjoyを使いますが、これは「お客様の信頼を楽しんでいます」とは訳せませんよね。「お客様の信頼を得ています」となります。
 同様に、

He enjoys a good income.

も「彼は多くの収入を楽しんでいます」とは訳せません。
 「彼は多くの収入があります」となるわけです。
 英米人、特にアメリカ人は、金額を具体的に言うのが好きですね。 
 そしてよく自慢しますから、

I enjoy a yearly income of 200,000 dollars.
(私は20万ドルの年収があります)

などと平気で言います。
 日本的感覚からすると、商談ならともかく、関係ないときにお金のことをあまり具体的に言うのははしたないと言われそうですが、英語の世界にはそんな文化はありません。

英米人はこのenjoyという表現をよく使います。enjoy music(音楽を楽しむ) やenjoy golf(ゴルフを楽しむ)、さらにenjoy life(人生を楽しむ)くらいなら、われわれ日本人もわかります。
enjoy job(仕事を楽しむ)になると「仕事って生活するためにやっているのだ」と反論が出てくるでしょうし、enjoy hard work(きつい仕事を楽しむ)なんて言ったら、なんと不幸な人だろうと変な目で見られるかも知れませんね。
アメリカでは,どんな仕事についている人でも普通 enjoy していると言います。言わない人は、その仕事をやめることを考えている人です。

前ページ | 次ページ | はじめに