F
【 第4章-7 】
  アメリカの警官は傲慢?

 空港で出発のフライトを待っているとき、私たちのメンバーの一人が、トイレに行ったきりもどってきません。
 この女性は英会話がほとんどダメなので心配していました。
 すると航空会社の乗務員の人が来て
 「日本人が問題を起こしているが、あなたがたと一緒の人ではないか」
と言ってきました。私は急いで飛んで行きました。
 現場に着いたら、驚いたことに警官がその人の腕をつかまえて、どこかに引っ張っていこうとしているのです。
 彼女のほうは、引っ張っていかれたら、私たちと離れ離れになり、自分だけ置いていかれてしまうと思い、境界線となっている木の棒につかまって泣きながら「ノー」と言っているのですよ。
 私は自分の気持ちをできるだけ冷静にしながら、その警官に、
 「彼女が何をしたんですか」
と聞きました。
 そうしたらその警官は、
 「この人は、入ってはいけないところに入ってしまったのだ。女性ゲリラが空港にいるというニュースがある」
と穏やかでないことを言うのですよ。
 私は「彼女は正式なパスポートを持つ日本人ですよ。何の犯罪の証拠もないのに、この人に何かすることはできませんよ」と抗議したのです。
 そして「どうしたらよいのですか」とたたみかけました。
 そうしたら「パスポートを渡せ」と言うのです。
 パスポートを渡したら、コンピュータで照合するためでしょう、早速ほかの人が、どこかに持っていきました。
 さらにセキュリティ・チェックを受けろと言うのです。
 私は彼女に従うように言って、セキュリティ・チェックを受けさせました。
 もちろん異常があるはずはありません。
 そのうちにパスポートも問題ないということで返ってきました。
 ヤレヤレです。
 その警官に文句のひとことも言おうとしたら、もういなくなっているんですね。
 いやあ、逃げ足(?)の早いのには驚きました。
 搭乗時間はとっくに過ぎていますから、急いでゲートにもどり、他のメンバーと合流して搭乗しました。
 私たちが搭乗したとたん、飛行機のドアは閉められ、すぐに離陸です。
 まさに危機一髪でした。
 他の乗客もトラブルがあったのは知っているようで、私の隣にいたイギリス人が「何があったのですか」と聞いてきました。
 事情を説明しましたら、彼は、
 「アメリカの警官は強すぎて傲慢でよくない。イギリスの警官のほうが傲慢さが少ない。カナダはその中間だ」
なんて言っていました。
 このときは何が原因でこんなことが起こったか、まったくわからずじまいでした。
 その女性も「悪いことは何もしていない」と言い張るのです。
 その後、あちらこちらのアメリカの空港に出たり入ったりしているうちに、原因がわかりました。
 飛行機に乗るためには、一度セキュリティ・チェックを受けた後、搭乗ゲートに行ってそこで待つわけです。
 ところがそのときはトイレがその付近で見つからず、彼女は一度出たら戻ってはいけないところまで行ってしまったのですね。
 そこからもとの搭乗ゲートに行くためには、もう一度セキュリティ・チェックを受けなければならないのですが、彼女はもと来た道から入り、またまずいことに、搭乗時間が迫っていたため走ったそうです。
 そこにいた黒人が何か言ったらしいのですが、その英語がわかりませんから、そのまま走り続けたため警官が呼ばれたようです。
 彼女も「恐い経験をしました」と言っていましたが、海外旅行は気をつけないと、ちょっとしたことが「おおごと」になりますね。

 「彼女が何をしたんですか」はWhat did she do? と簡単なのですが、このような緊急のときには、簡単な英語が出てこなくて困ることがありますね。
 それこそCalm down.(落ち着け)あるいは Take it easy.(気を楽にして)と自分に言い聞かせながら英語を話したほうがいいですね。

 「彼女は正式なパスポートを持つ日本人ですよ。何の犯罪の証拠もないのに、あなたはこの人に何かすることはできませんよ」は、

She is a Japanese having an official passport.
You can't do anything to her without having any crime evidence.

です。
 このYou can't do. はいろいろ使い道があります。例えば、

You can't talk to me like that.
(あなたは私にそのような口のききかたはできませんよ)

はよく使われる表現です。

 「何があったのですか」は

What's wrong?

です。
 「何か問題でもあるのか」というニュアンスがWhat's wrong? にはあります。

What's the matter?

のほうがそのニュアンスが少ないでしょうか。
 「何でもありませんよ」は、

Nothing is wrong.

です。
 「何か問題がありますか」なら、

Is anything wrong?

で、「すべてはけっこうです」は、

Everything is fine.

ですね。

前ページ | 次ページ | はじめに