【 第5章-11 】
  「いらっしゃいませ」「いただきます」にあたる英語はない

 日本では飲食店などで「いらっしゃいませ」と言いますが、この英語あるでしょうか。
 ピッタリの言葉はないですね。
 強いて同じニュアンスで何かないかと言われれば Good evening. か、あるいは相手の名前もつけて Good evening , Mr. Johnson! です。
 ウソだあ、それって「こんばんは」じゃないかって言われるかも知れません。
でも英米人はお店でお客様を迎え、「よく来てくれました」というニュアンスで Good evening! と言っているのです。
 May I help you? があるじゃないかですって?
 たしかにデパートなどですと、May I help you? と店員が近づいてきます。でもこれは「いらっしゃいませ」ではありません。
 この日本語訳が難しいんですよ。
 「何かご用がありますか」でもあっていますが、日本で「何かご用がありますか」と言ってお客様に近づく店員さんっていませんよね。
 普通は「いかがですか」でしょう。
 そうすると、こちらのほうが正しい訳となりますね。

 一つ思い出したのですが、英会話初心者の人が、「お手伝いしましょうか」という意味を表現しようとするとき、この May I help you? を使うことがありますが、その場合適切なのは Can I help you? です。
 May I help you? だと、あまりにもへりくだり過ぎていて、変なんですね。
 また、「行ってもいいですよ」という意味では You may go. とは言えません。
 王族の人が臣下に「行ってもよろしい」というようなニュアンスだからです。

 「ローマの休日」は昔のハリウッド映画ですが、英会話を学ぶ多くの人々が今でも見る映画だと思います。ストーリーも面白いですが、王妃を演ずるオードリー・ヘプバーンの英語があまりにもきれいなのがその原因の一つなのだと思います。私自身も今まで最低でも50回以上は見ています。

あるシーンでオードリーが演ずる王妃が、グレゴリー・ペックの演ずる新聞記者にYou may sit down. と言いますが、その日本語版字幕は「座ってよろしい」となっています。
 新聞記者はこの言葉の尊大さに驚くのですが、王妃と知っていますから、これに対して Thank you. と言っています。

ただし、may とcan の使い分けはかなり難しいのですし、  あまり面倒な理屈を覚える必要もないですから、私たちは何でもcan を使って、

Can I use the telephone?
(電話をお借りできますか)

とか、

You can go.
(行ってもいいですよ)

と言うようにすればよいと思います。

 ついでですが、食べることに関する言葉で、日本語にはあって英語にはないのが「いただきます」ですね。
 フランス語にはありますが、英語にはありません。
 「ごちそうさま」にピッタシの英語はありませんが、Thank you.で通じます。

So I don't know what we should take.

takeは「〜 を注文する」という意味です。買い物をしているときに、

I will take it.

と言えば「それを買います」となります。どちらもとても便利な表現ですね。

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