深刻な交渉シーンは
  (1) 英語はジョークで話しが決まる
アメリカ大学長との交渉

 シアトルのC大学の学長とさっきから1時間も話しているが最後の条件面で折り合いがつきません。いいかげんにしてくれと思った私は
 "Why don't we make an agreement and go for lunch. It's just before 12 o'clock."
 (早く合意して昼食にでも行きませんか。もう12時ですよ)と時計を見ながら言ったところ、


相手の学長はニャッと笑ってこちらの条件をのんでくれ、合意が成立しました。
北海道の旭川に日本分校をつくるというプロジェクトがはじまるきっかけとなり、私たちアメリカ大学設立委員会のメンバーにとって最もうれしい瞬間でした。

 アメリカ人はジョークが好きです。難しい交渉の最中でも平気でジョークを言いますし、ジョークを言ったおかげで話がきまることはしょっちゅうです。私もかっこよくジョークで話を決めたわけです。
 こう言うと私のことをさぞ英語がうまいだろうと思われるでしょうが、実はあまりうまくありません。
 このときもcartoon(漫画)という簡単な英語が思い出せなくて通訳ができなかったくらいなんです。

 このような交渉事に際して私は必ず
"I am not native English speaker. So please speak slowly."
(英語は私の母国語ではありません。ですからゆっくり話してください)
 と言ってから始めます。
 通訳としてお金をもらっている人はそうはいかないでしょうが、私はそうではありません。ですからわからないと何度でも聞きますし、相手のスピードが早くてわからなくなると

You speak too fast.(あなたの英語は早すぎます)と言います。

相手にはこちらが日本人なのだといつも思わせてなくてはならないというのが私の持論です。

(2) ソフトウェアの出版独占権利の取得
「私は英語が下手です」と言え!


シカゴのソフトウェアの会社の社長に面談しました。ところがこの人の英語がわかりずらくて困ってしまったんですね。そこで私はとっさに次のように言ったんですよ。
I have two handicaps. First, English is not my native tongue. Second, you are software expert but I am not.

(私には二つのハンディがあります。一つは英語は私の母国語ではありません。もう一つはあなたはソフトウェアの専門家ですけれど、私はそうではありません)。
つまりこの交渉は同じ土俵でやっているのではないということを印象つけたかったのです。アメリカ人のよいところは公平さを重んじることてす。It's not fair.(それは公平ではありませんよ)と言うととても気にして態度を変えてきます。
公平という点では交渉するときの言語は英語にするか日本語にするかということから決めるべきなのに、日本人がたまたま英語が多少わかるというので英語でやるのがあたりまえになってしまっています。ですから英米人は日本人にわかるような英語を話さなくてはいけないというのが私の論理です。アメリカ人と話していてこちらの話す英語がわかってもらえないときは

I wish if you could speak Japanese.(あなたが日本語がわかるといいんですがねぇ)と言うと効果があります。
相手は一生懸命に理解しようとしてきて「きみの言いたいことはこういうことか」といろいろ逆に聞いてくるから楽になります。
このシカゴでの商談のときも相手の英語がしょっちゅうわからなかったんですね。その中でもI'm sorry? (すみません、もう一度お願いします)と言って聞き直してもわからないのがあったんですね。仕方がないのでHow do you spell? (どのように書きますか)と聞いたところJAVA(プログラム言語の一つ)と書いてきたのですよ。なんでこんな英語がわからないのかというと発音が違うのです。カタカナ英語はよくわからないから書いてもらったほうがよい場合がよくありますね。でもこんな苦労はありましたが商談はうまくいって契約は成立しました。

今の私はこのような体験をしながら英語の中で仕事をし、生活をしています。今でも英語は勉強していますが、一応コミュニケーションのツールとして使えるようにはなっています。もちろん何もしないでいきなりこのようになったわけではありません。

それでは「マイクの体当たり英会話」が始まります。

私のビギナー時代